past / 2015
Yuta Hayakawa / Daisuke Ishii / Motomasa Suzuki / Keizo Tawa "sculptures"
早川祐太/石井太介/鈴木素真/多和圭三
November 28 - December 26, 2015
past / 2015
Yuta Hayakawa / Daisuke Ishii / Motomasa Suzuki / Keizo Tawa "sculptures"
早川祐太/石井太介/鈴木素真/多和圭三
November 28 - December 26, 2015
past / 2015
Yuta Hayakawa / Daisuke Ishii / Motomasa Suzuki / Keizo Tawa "sculptures"
早川祐太/石井太介/鈴木素真/多和圭三
November 28 - December 26, 2015
Paris Internationale 2019
16 Rue Alfred de Vigny
75008 Paris
October 16 (wed) - 20 (sun), 2019
Preview: October 15, 2019
Paris Internationale 2019
16 Rue Alfred de Vigny
75008 Paris
October 16 (wed) - 20 (sun), 2019
Preview: October 15, 2019
CURRENT
Gallery Show
常設展
June 20 (Thu) - July 11 (sun), 2019
CURRENT
Gallery Show
常設展
June 20 (Thu) - July 11 (sun), 2019
CURRENT
Gallery Show
常設展
June 20 (Thu) - July 11 (sun), 2019
past / 2019
Soshi Matsunobe "See the Shades"
松延 総司
July 20 (Sat) - August 11 (Sun), 2019 Reception : July 20, 6-8 PM
Press Release (PDF)
Review
「松延総司論―現象と実体の狭間、デジタルと手わざの往還」 栗本高行(美術評論家)Download (PDF)
“Installation by Pattern of Dark (light and shade, #1, #2) " 2019, wallpaper and tape, size variable
installation view 2019
“Installation by Pattern of Dark (colony, #6, #8) " 2019, wallpaper and tape, size variable
Framed work: “Appear on Disappear Drawing (Disappear on Appear Drawing)” 2018, pencil on paper, 60.6 x 41 cm
LEFT: “Installation by Pattern of Dark (getting dark, #22) 2019, wallpaper and tape, size variable
RIGHT: “Pattern of Dark #1” 2018, pen on paper and photo in frame, 23 x 42 cm
“Pattern of Dark #6” 2019, pencil on paper and photo in frame, 35 x 57 cm
installation view 2019
installation view 2019
installation view 2019
“POD/DOM” 2019, paper, 17.5 x 11 x h12 cm
モアレ模様が揺らめく壁に近寄ると、そこにあるのはラフで芯の強いドローイングの集合体だと気づく。そのドローイングは、まるでペンの試し書きのように白い紙の上を往来する、それ自体には意味のない線である。
松延総司の壁紙は、手書きのドローイングをスキャニングしてパソコン上で組み合わせ、紙に起こして線で隙間を埋め、再びデジタル処理を加えて設計した単一ユニットの集合体である。一度出来上がったユニットは無限に複製ができ、プリントアウトされた壁紙となって重なり、反復されることで、一枚の大きな絵となり思いがけない表情を見せる。
匿名的な線、機械的な反復と複製、グリッド、グレートーン。構成要素を極力削ぎ落とした彼の作品は、一見すると徹底してミニマルで禁欲的な性格さえ備えている。しかし本展で提示される壁紙には、ペンと鉛筆のように異なるニュアンスの線を重ねたり、反復するユニットの大きさや重なる位置を意識的にずらしたり、さらには展示空間の構造を利用しながら陰影や歪みを重ねたりと、むしろ作品のレイヤーを積極的に増やそうとする姿勢が見え隠れする。時に虚と実を入り交ぜながら壁という境界の向こう側に異次元の空間を生み出し、私たちがいるこちら側と接続させようとする試みは、線遠近法を獲得したルネサンス期の作家たちが現実の建築に描き出しただまし絵的な連続性と、どこか重なるところがある。この親縁性は、線がスケールを伴う面となり、やがて1つの風景となって眼前に立ち顕れる時の、新鮮な驚きとの類似でもある。その意味で、彼のインダストリアルで平板な壁紙には、脱身体的で無個性に思える表面とは裏腹に、作品と鑑賞者との間の距離を近づけ、いわば「親しみ」を感じさせるフックが奥深くに存在する。そして、それを可能にするのは、手書きの線の朴訥とした佇まいである。
遠くから見えたモアレ模様は壁紙の表面に近づくほど捉え難く、見る者の目はただその上を滑る。線でも模様でもない。絵画でも壁紙でもない。どちらでもない、あるいは何でもない地点を肯定する探求は、揺れ動き途方もなく広がる、形ない影を捉えることと似ている。
(滋賀県立近代美術館 渡辺亜由美)